青色申告した人は家族に給料を払って節税することができる!

個人事業主の方、税金高いなと感じていませんか?
所得税は所得が高くなるにつれて税率も上がる、超過累進税率という方式により計算されます。
最高税率は45%!これに住民税の10%も合わせると55%となり所得の半分以上の税金が発生することになります。
所得が大きくなる要因は、売上などの収入が増えること。
そしてもう一つ、経費の減少も所得増加につながります。
減価償却が終了や借入金に係る支払利息の減少により、年々経費は少なくなる傾向です。
売上はあまり変わらないのに手元に残るお金が減ってきたなと感じる方、経費がもう少しあったらなとお考えの方、青色専従者給与は活用していますか?

前回の「所得控除だけじゃない!青色申告のメリット」において、家族に対して支給する給与を経費にできる特典があることを確認しました。
すでに家族に事業を手伝ってもらっているけど給料は払っていない、自分でやっている業務の一部を家族に手伝ってもらいたいという個人事業主の方、青色専従者給与についてぜひご確認ください。

青色専従者になれる人

次の要件を満たす親族は青色専従者として働くことができます。

・青色申告者と同一生計親族
同一生計とはお財布がひとつということです。一緒に住んでいる場合だけでなく、仕送りを受けている扶養親族も含まれます。

・その年の12月末時点で15歳以上であること

・1年間のうち6か月以上、青色申告者の事業に専ら従事すること
“専ら”ということは、ほかにアルバイトなどの副業禁止!かというと、そういうわけではありません。副業が短時間であって本業(青色申告者の事業への従事)へ支障がない程度なら認められています。ただ、どの程度ならOKなのかという基準が明確でなく、争点になりやすいので本業に専念してもらうのが無難でしょう。

届出が必要

1.「青色事業専従者給与に関する届出書」

必要経費に入れたい年の3月15日までに納税地の税務署に提出しなければなりません。
届出書には給与や賞与の額を記載する欄があるので、届出書の提出までにどの程度支給するのか検討しておく必要があります。

2.「給与支払事務所等の開設届出書」

他の従業員がいない場合で今回初めて給与を支給する場合には1.と併せて給与支払事務所等の開設届出書も提出します。

3.「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」

給料を支給する際は所得税を差し引いて支給し、その所得税については基本的に毎月納付することになります。
給与を支給する人数が10人未満の場合には、年に2回(7月と1月)に半年分ずつ納付できる納期の特例という制度があります。この制度を利用するためには、申請書を提出しなければなりません。毎月納付の手間を省きたいという場合には、こちらの書類も一緒に提出しておきましょう。

いくら支給できる?

支給額は青色事業専従者給与に関する届出書に記載している範囲内におさめなければなりません。
また支給できる金額は労務の対価として相当であると認められる金額とされ、過大とされる部分の金額は経費として認められないので、業務量や業務内容から給与の適正額を検討する必要があります。求人情報などを見て相場を確認するのがよいでしょう。

注意点

・配偶者(特別)控除や扶養親族控除は受けられなくなる

配偶者控除等は受けられなくなるものの、青色専従者の働き方によっては配偶者控除等の金額を超える額の給料を支給することが可能です。
年間103万円を超えると所得税が発生する点については留意しておきましょう。

・源泉所得税の納付や年末調整が必要
上記に記載したように源泉所得税の納付の手続きをしたり、年末には年末調整をしたりと事務作業が発生します。

・税務調査で否認されるケースも
調査の際には、青色専従者給与の内容についてはチェックされる可能性が非常に高いです。給料の額が高すぎると判断されれば、高すぎる部分の金額は経費として認められません。また業務量が少なすぎる場合や、副業をしていたことで“専ら”青色申告者の事業に従事していないと判断されれば、青色専従者給与そのものが否認されてしまうこともあります。
給料の額の根拠や、勤務実態などについては説明できるようにしておくとで否認されるリスクを防ぎましょう。

最後に

通常経費にすることができない同一生計親族への給料を必要経費に算入できる青色専従者の制度について確認しました。
給料の額については争点になりやすいので注意が必要ですが、使い方によっては大きな節税効果を発揮してくれる制度です。せっかく用意されている青色申告の特典なので、正しく利用して節税してみてはいかがですか?

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