本当にうちは大丈夫?!増加する相続税無申告トラブル

相続税は一部の資産家が納めるもの。そんなイメージがあるかもしれませんが、一般家庭にも無縁な話ではありません。

国税庁が令和元年12月に発表したデータによると、2019年6月までの1年間に国税庁が実施した相続税の税務調査では、申告漏れが1,232件で前年比+20.2%、追徴税額は約101億円にものぼったそうです。

これは税務調査により無申告が発見された件数なので、調査を受けずに見つからなかった隠れ無申告を合わせると非常に多い件数になることが予想できますね。

無申告事案が増加している大きな要因は2015年の基礎控除額が引き下げられたことによります。きちんと申告している人との公平性を保つため、国税庁はこの無申告事案の調査を重点的に取り組んでいるとか。

“うちには関係のない話”と申告しなかった。悪意があるわけではありませんが、ペナルティも課されてしまいます。

所有の財産を見直して、本当に相続税申告が無縁の家庭なのか検討してみませんか?

 

相続税申告の要・不要

相続税とは被相続人(=亡くなった人)の持っていた財産の価値が基礎控除額を超える場合に、その財産を受け継いだ相続人が支払う税金です。

つまり亡くなった人が持っていた財産が基礎控除以下であれば、相続税はかかりませんし相続税の申告も不要となります。

※基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

申告が必要な場合と不要な場合の違いを見てみましょう。

 

家族構成が本人(被相続人=死亡した人)・妻・子であった場合、法定相続人の数は妻と子の2人となり基礎控除額は4,200万円【3,000万円+(600万円×2)】です。

相続財産の価値が例えば4,000万円であれば、相続税の申告は不要となります。一方、相続財産の価値が4,500万円であった場合には、相続税申告は必要となり相続税も発生します。

 

財産の価値とは?

相続財産の価額が基礎控除以下なら申告不要であることを確認しましたが、それでは相続税の計算をする上での財産の価額(=相続税評価額)はどのように決まるのでしょうか。

 

現金1,000万円の財産の価値は1,000万円。というのは非常に分かりやすいですね。

 

家はどうでしょう。少し専門的になりますが自分が住んでいる家であれば、毎年届く固定資産税明細に載っている固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

財産の価値を算定する上で一番やっかいなのは土地といえるでしょう。ここの土地はいくらです。と決まっているわけではなく、財産を受け継いだ相続人が自分で金額を算定するようになります(とても煩雑な作業のため、税理士等の専門機関に委託するのが一般的です)。代々持っている土地などでそんなに高くないだろうと思っていた土地が、想定していなかった金額になることも珍しくないでしょう。

 

無申告によるペナルティはどのくらい?

ペナルティについて

①税務調査を受ける前に自主的に期限後に申告する場合

②税務調査を受けて相続税を納付するように指摘された場合

③税務調査を受けて相続税を納付するように指摘された場合(財産を隠したなど悪質な場合)

によってかわってきます。

 

今回は相続税の申告は必要ないと思い申告していなかったが、税務調査で実は申告が必要だったことが判明したケース。②の場合にどのくらいのペナルティとなるかみてみましょう。②の場合には、無申告加算税と延滞税の二つのペナルティが課されます。

無申告加算税は納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%を掛けて計算します。

延滞税は申告期限から日割りで計算され、納付すべき税額に対して年利2.6%(令和2年現在)を掛けて計算します。

(例)納付すべき相続税が100万で申告期限から1年過ぎた日に納付した場合

①無申告加算税 17万5,000円(50万円×15%+(100万円‐50万円)×20%)

②延滞税 2万6,000円 (100万円×2.6%×365日/365日)

 

というわけでペナルティ税金の合計(①と②の合計)は20万1,000円となります。悪意はなかったとはいえ結構な金額になります。

 

現状を把握してみましょう

自分の相続はまだまだ先の話。けれど、所有財産を把握するのに早すぎることはありません。将来、相続税が発生するような財産状況の場合も、早めの対策をすることで納税額が大幅減額になることもあります。

所有の財産にはどのようなものがあり、どの程度の金額になるのか考えてみましょう。

現金、預金。土地や家。株式や投資信託、生命保険などなど。

前述したとおり、現金や預金の金額は分かりやすいです。しかし土地の価額は非常に複雑です。少し詳しく把握しておきたい場合は、専門機関に相談してみるのがいいでしょう。

当社でも随時相談を承っています。お気軽にお問合せください。

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