経営・税務のお役立ち豆知識

事業承継がしやすくなる!?

投稿日:2018年4月10日 更新日:

事業継承

厳しい冬もようやく終わり、桜が咲き始める時期となりました。

当社も、1年のうちで最も忙しい、確定申告時期を無事終了致しました。2月、3月は繁忙期のため、記事の更新をお休みしていましたが、年度が変わった今月から記事の更新を再開させていただきたいと思います。

さて、昨年末に政府与党より発表され、閣議決定した「平成30年度税制改正の大綱」において、「事業承継」に関する重要な改正がありました。

新聞等で目にした方も多いかもしれませんが、当月はこの「事業承継税制」についてご紹介したいと思います。

後継者はいるが株式の贈与等が多額になってしまうことにより「事業承継」が進んでいない方、あるいは、「事業承継」のスムーズな方法を知りたいという方にとっては、今回の改正は大きなチャンスとなります。「事業承継」をお考えの方は、ぜひ一読してみてください。

事業承継における現状

近年、新聞やテレビ等で頻繁に報道されているように、中小企業の後継者不足が深刻な問題となっています。特に地方の後継者不足は皆さんの想像以上に深刻です。また、後継者がいる企業であっても、事業承継を行う上で多くのハードルがあります。その中でも特に株式の「贈与」や「相続」多額の税金がかかるといった問題により、事業承継が円滑に進められず廃業になってしまうというケースが多く発生しています。

これらを受け、国は平成21年度の税制改正で中小企業の事業承継を円滑化するための「非上場株式等に係る相続税、贈与税の納税猶予制度」、いわゆる「事業承継税制」を創設・導入し、幾度かの改正を経て現行の制度に至りました。

現行制度の概要

現行の事業承継税制を、簡潔に説明すると以下のようになっております。

・現経営者、後継者が各要件(後継者が贈与日に20歳以上で、贈与の直前3年以上役員であること、相続開始の直前において役員であること等)を満たす

・贈与・相続後5年平均8割の雇用を維持し、その後も株式保有を継続する

上記要件を満たした場合、

⇒ 贈与時100相続時80納税猶予

納税猶予対象株式: 発行済議決権総数の3分の2まで

なお、詳細は、以下のリンクより参照ください。
中小企業庁HP 「事業承継:(http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html

この現行制度を用いて株式の贈与をした場合の簡単な例を挙げてみます。

例:A株式会社 発行株式:300株 評価額:300,000千円

現行制度を用い、現経営者が後継者である長男に株を全て贈与した場合

納税猶予対象株式:200株    評価額200,000千円
贈与税対象株式 :100株    評価額100,000千円
贈与税額    :100,000千円 ― 1,100千円(基礎控除)=98,900千円(課税価格)

98,900千円×55% ― 640,000千円(控除額)= 47,995千円

この場合、猶予対象株式200株の納税が猶予され、猶予対象外の100株に対して贈与税が課されます。

また、納税猶予対象となった株式も、雇用要件を維持できない場合等で打ち切りになった場合、納税猶予額と利子税を負担しなければならないため、慎重に行う必要があります。

そのため、現行の事業承継税制については、対象者が1人の後継者に限定されている点や8割の雇用維持要件が厳しいといった問題により、あまり活用されていないというのが現状です。

新制度(特例制度)の概要

指摘されていた現行制度の問題点への対応として、平成30年度税制改正により、新たに「事業承継税制の特例」が創設されました。

現行制度との大きな違いは、下図のように、現行の「事業承継税制」の適用をするうえで大きな障壁になっていた部分が大幅に拡充、緩和された点です。

現行制度と新制度の主な違い

(引用:「Q&A 平成30年度税制改正の留意点」㈱TKC出版より )

当該新制度は対象株式が全ての株式となり、現行制度の懸念事項であった雇用要件が実質撤廃されました。さらに贈与者、受贈者共に複数人が対象になり、特例承継期間後の減免要件に「譲渡」「解散」が加えられるなど、事業承継を行う上でのハードルやリスクが下がり、現行制度と比べ、大幅に利用しやすくなりました。

ただし、時限立法のため期間が限定されていることや、特例承継計画の提出が求められるため、注意が必要です。

事業承継税制の特例を適用する際の注意点

この事業承継税制の特例は、平成30年度税制改正により新たに創設されものであり、従来の制度とは別の制度になります。そのため、新制度あるいは現行制度のいずれかを納税者が選択して利用することになります。

ただし、この新制度は、あくまでも10年間(厳密には平成39年12月31日まで)の時限立法として、適用できる期間が限られています。

さらに、この新制度を適用する要件として、特例承継計画を都道府県に一定の期間内までに提出し、認定※1を受ける必要があります。

新制度(特例)の期間 平成30年1月1日~平成39年12月31日
特例承継計画書の提出期間 平成30年4月1日~平成35年3月31日

※1中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項における認定

この特例承継計画書の提出以外は、基本的には現行手続きと同様ですが、計画書の作成には税理士等の認定支援機関の関与※3が必須となります。

※2認定経営革新等支援機関の所見等の記載が必要となります

事業承継をお考えの方へ

以上のように、新制度は、特例承継計画の策定・提出という要件が課され申請上のハードルはやや高まったものの、猶予額・維持要件等の拡充・緩和など、現行制度に比べかなり利用しやすくなり、また、事業承継における負担が大きく軽減されます。

当事務所も、既に認定経営革新等支援機関として、納税猶予制度(平成30年度改正前)を活用し、事業承継を支援させていただいた実績がいくつかあります。

また、後継者のいらっしゃらない方への事業承継の支援(企業価値評価、M&A等)も同時にさせていただいております。

円満に後継者へバトンを渡す方法として、事業承継をお考えの方は、この機会にぜひ一度当事務所へご相談下さい。

(当社HP「事業承継」専用ページ:https://www.gotoszk.jp/lp/

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